工程進捗管理、できていますか?

カイゼンコンサルタントのKANSINノート, 製造業

こんにちは。
シナプスイノベーション 営業本部 中里です。
今回は、製造業での「進捗管理」の話です。

「進捗管理」というコトバは、「JISZ8141-4104」に、次のように定義されています。
「仕事の進行状況を把握し,日々の仕事の進み具合を調整する活動」「進度管理又は納期管理ともいう」

ではなぜ、仕事の進行状況を把握し、仕事の進み具合を調整しなければならないのか。
その目的は、お客様が求めるモノを、「納期を守って」製造することにあります。

PDCAで回す進捗管理

進捗管理には、PDCAのサイクルが欠かせません。

①Plan

計画なしでは進捗管理はできません。
計画と実績を比較して、そのギャップを埋めることが「進捗管理」だからです。
「見込生産」であれ「受注生産」であれ、計画がなければ「進捗管理」になりません。

「JISZ8141-4104」では、「生産計画」というコトバが次のように定義されています。
「生産量と生産時期に関する計画」「大日程計画,中日程計画,小日程計画に分けられる」

何をどれだけ、いつ作るのかという計画が「生産計画」です。
私の経験では、1年から半年の大日程計画、3か月から1か月の中日程、日々の計画である小日程と分類されることが多いです。

納期までに必要なモノを作るために、いつ作るのか、誰が作るのか、どう作るのかを考えます。
ただ期間内で作業を完了させるだけではなく、作業が過密になったり、逆に不足してヒトや機械に待ち時間が出たりすることもないように、綿密な計画が必要です。

②Do

計画に従って、製造作業を行います。

③Check

製造作業の実績と計画を比べ、計画通りに実績が進んでいるかを確認します。

ここでは、現場全体の管理者・各工程のキーパーソン・作業者の連携が重要です。
計画に対して「遅れている」「遅れそう」という状況を認識するためには、作業の手配・準備から作業完了までの一連の計画を、そもそも把握できていなければなりません。
計画を把握しているのは管理者やキーパーソンです。
管理者やキーパーソンが、作業者の状況を知ることで、遅れを認識することができます。

④Action

「遅れている」「遅れそう」という状況を認識したら、それに対処することになります。
遅れが出ている状態から「納期」を守るための応急的な対応としては、残業や休日出勤でカバーする、他部門から応援に来てもらう、外注に作業を依頼するなど、主に目の前の人手を増やす方法が考えられます。

しかし、根本的な対応をするためには、そもそもなぜ遅れたのか、原因自体にアプローチする必要があります。
そのため、遅れを認識したら、その「原因」を調べます。

例えば、追加受注がきたのにそれを計画に反映しないと、「生産能力不足」になり遅れが発生します。
「作業者のスキル不足」、「モラル低下」によっても「生産能力」が不足します。
「不良の発生」、「機械の故障」が起きると「稼働率」が落ち、遅れの原因になります。
原材料や部品の「納期遅れ」や「発注ミス」があると、材料や部品の欠品による遅れが発生します。

追加受注があるのなら、もれなく計画に反映できる仕組みが必要です。

「作業者のスキル不足」、「モラル低下」の場合は、作業のマニュアル化、作業者への教育などが根本対応として考えられます。

「不良の発生」、「機械の故障」の場合は、「IE(インダストリアルエンジニアリング)」の手法が効果的です。

原材料や部品の「納期遅れ」や「発注ミス」の場合は、「MRP」や「発注システム」、「在庫管理システム」など、原材料の仕入と在庫管理に関わる部分を見直します。

「進捗管理」を見える化すると、工場は強くなる

「進捗管理」の具体的な手法としては、例えば次のようなものがあります。

①差立板
日程計画に基づいた作業者別・機械別等の作業指示を、ボードに順番通り記載します。
作業者はこれを見ながら作業を進め、「作業中」「完了」などの進捗情報を追記します。

②ガントチャート
工程ごと、機械ごとなどを縦軸に、時系列を横軸にとって、計画をグラフ化したものです。
ここに、実際の進捗状況を追記していきます。

③製造三角図(斜線式進度表)
こちらもグラフです。縦軸に、製造の結果がどれだけになったか、例えば「生産量」を取り、横軸には日付を取ります。
計画と実績をそれぞれ書き込めば、その乖離がわかります。

3つの共通点は、各工程とその進捗を見える化しているということです。
いつ、どの工程を進める計画で、実際にはどこまで進んでいるのか、リアルタイムな進捗状況が、目で見てぱっとわかります。

ただ仕事の進み具合を把握するだけではなく、それを誰もが目で見てわかるようにすると、いったい何がよいのでしょうか?

まずお客様に対しては、モノが「この日までに間に合うか?」「何日までになら作れるか」と問い合わせをいただいたときに、迅速で正確な回答ができるのがメリットです。

社内では、作業者ひとりひとりが、作業全体の進捗を目にするようになります。
すると、例えば遅れが出ているときに、作業者自身が気付いて、何らかのアクションを起こすことができるようになります。
目の前の仕事に対する問題意識が自然と高くなります。問題を見つけやすくなります。
問題が明確になれば、その予防や再発防止に努めることもできるでしょう。
全体の中で自分が担っている役割を大切に考えられるようになってきます。
これらの繰り返しで作業者のスキルとモラルが上がり、いつの間にか、「生産能力」が向上していると期待できます。

結果、よいモノを納期通りに届けられる工場になるわけです。

あなたの工場にぴったりの進捗管理を目指して

私は、そもそも「管理」とは、よい状態を定義してそれを維持する活動だと考えています。
今回扱った「進捗管理」の世界では、よいモノを納期通りに届けられることが“よい状態”です。
どの企業も、よい状態の構築と意地を目指して日々努力と工夫を重ねています。

世の中には、その努力と工夫をサポートするために、進捗を見える化してくれるITツールが数多く存在しています。

この中からよりよいツールを選ぶには、自社の求めている機能をきちんと備えているか、確認することが大切です。
例えば、作業実績がモバイルなどで簡単にできること、セキュリティの面で信頼できること、現場に手軽に導入できることなどが求められるでしょう。

このたび、シナプスイノベーションは、新しい工程進捗のソリューションを発表しました。
モバイル対応、レポーティング機能など、製造業の皆様がお求めの機能をいろいろと揃えています。
興味を持っていただけましたら、製品ページをご覧ください。

 

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経営層から現場層まで情報を一気通貫につなげられることが強みです。

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中里
この記事を書いた人

中里 真仁(なかざと まさひと)

宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。

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