多品種少量生産の原価管理は「IoT」の活用がポイント

製造業

【改善コンサルタントのKANSINノート】~シナプス社員ブログ~
シナプス社員ブログ宝塚歌劇をこよなく愛すコンサルタントが、日々の仕事や暮らしの中で関心を持ったこと、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。

 

おはようございます。
シナプスイノベーション プロダクトクリエイション部の中里です。

 

最近、関西はやっと涼しくなり、天気もよくなったと感じます。
あの暑すぎた夏、毎週のように来た台風。
もう10月も終わりです。前回、立山の話をしましたが、その立山も、もう真っ白です。
涼しくなったせいか、物事を細かく考えられるようになった気がします。
暑いと細かい事を考えるの自体がつらかったような……皆さんはいかがでしょうか?

 

細かい事を考える余裕が出てきたところで、今回はIoTと原価管理の話です。

 

J WALDはIoTの技術を取り入れて設計されています。
工場の設備とデータをやり取りし、製造業の仕事に活かすことができるシステムです。
では、工場の設備からデータを取得できることが、何の役に立つのでしょう。
今回は原価管理に注目して考えてみたいと思います。

MES領域のKPI

ISO22400というMES領域のKPI国際基準があります。
これは、ドイツのIndustry4.0で重要とされている「標準化」のために提唱されたものです。

 

いろいろと新しいコトバが出てきました。
まずはMESってなに? というところからご説明します。

 

MES

MESとはManufacturing Execution Systemの略で、日本語では「製造実行システム」と呼ばれます。
工場の生産ラインの各製造設備と連携して、工程管理、作業者への指示を行うことができるシステムです。QCD改善活動の役にも立ちます。
生産管理システムと何が違うの? と言い出すとややこしい定義の話になりますので、MESとは製造工程に特化したシステムなんだととりあえずご理解ください。
日本ではまだなじみのない方も多いですが、ドイツでは積極的に使われているようです。

Industry4.0

Industry4.0は、ご存知の通りドイツ政府の推進するモノづくりの革新プロジェクトです。
このプロジェクトでは、これまで企業や業種ごとに異なっていた指標を統一することが重要視されています。
様々な指標を標準化することで、工場、企業を横断して製造業界全体が発展できると考えられているのです。

ISO22400

ISO22400はこの標準化の考えに基づき、MESの扱う製造工程領域の生産性指標を定めたものです。
ドイツをはじめヨーロッパ、アメリカ、アジアの各国が採用に取り組んでいます。

 

ISO22400では、MES領域でのKPI(ここでは生産性指標)が34種定義されています。
これらはすべて数と時間によって構成されており、金額は出てきません。

 

例えばISO22400のKPIのひとつに、Worker Efficiencyがあります。
日本語では「労働生産性」と訳されます。

 

一般的に「労働生産性」というと、付加価値÷労働量で計算できるとされています。
ここでいう付加価値は売上高からその売上を出すのにかかった費用を引いたものなので、おおよそ粗利益に近いです。
ということは、労働生産性はお金で表すものということになります。

 

ですが、ISO22400の「労働生産性」は、構成式が全く違います。
労働生産性=製造指図の実行に必要な時間÷勤務時間から休憩時間を引いた時間、つまりおおむね必要作業時間÷就業時間で求めるのです。
ということは、ここでの労働生産性は時間で表される指標です。

 

つまり、ISO22400の指標を字面通り受け止めると、MESの領域ではお金のことは扱わないという理解ができてしまいます。

 

というのも、工場で得られる情報というのは突き詰めれば全て数と時間で、金額はないからです。
ある機械で作られたモノの数であったり、ヒトの稼動時間であったり。
工場で直接見えるのは、いくつか、どのくらいの時間かなのです。

MESとERPの違い

MESがいわば製造現場の最適運用を目的としているのに対して、経営資源の最適活用を目的としているのがERPです。
つまり全社の管理はERP、工場の管理はMESという構図になります。
それならばERPとMESの領域を完全に分け、お金の話は全てERPでよいだろうという考え方もあります。

 

しかしERPとMESでは、製造現場を見るメッシュが違います。
あなたの会社の原価管理はほんとうにERPだけで十分でしょうか?

多品種少量生産に合わせた詳細な原価管理が経営に不可欠

多品種少量生産が当たり前の現在、原価管理も詳細なメッシュが求められています。
多数生産している製品のうちどの製品の利益が高いのかを見るためには、部品や材料の費用、労務費、設備費などの金額を詳細に把握することが必要です。
その金額の根拠となるものとして、ヒトの作業時間、部品原材料の購入数、部品原材料・仕掛品・製品の入出庫数、設備の稼動状況といった、様々な数と時間の情報があります。

 

これらはERPではなくMESの領域、つまり製造現場でキャッチするものです。
ですからやはり、ERPの領域で原価管理を完結させようというのは違うと思います。
工場の情報を詳細かつ正確に収集することが、正しい原価管理の第一歩です。

工場の情報を人手で収集するのは困難

IoT化が進んでいない工場では、多くの情報が人手で収集されています。
しかし、人手で詳細かつ正確な情報を集めるのはとても難しいことです。

 

例えば、ヒトの作業時間は基本的に作業者の申請に基づいてデータ化されています。
入力の仕方や日報の書き方などは様々ですが、作業したヒトが自身で情報を発している点は同じです。
これでは、1日の作業のうちどの作業に何分かかったのかを正しく記録する事はかなり難しいでしょう。
もし何とか記録しようとすれば、記録すること自体の作業量が増え、工場全体で考えると無視できない時間になってしまいます。

 

人手で精密な情報を収集しようとすると、経済性が悪くなるということです。
最悪、時間ばかりがかかって、何のために詳細な情報を集めているのかを見失うかもしれません。

 

加えて、情報を記録するタイミングも重要です。
経営層にとっては、タイムリーに原価・利益を把握する事が経営判断に欠かせなくなってきています。
しかしシステムに情報を入れるタイミングが遅れると、タイムリーな原価把握はできません。

IoTを活用すると、工場の情報収集に人手が不要になる

そこで役立つのがIoTです。IoTを使えば、情報を詳細かつ正確なデータとして、タイムリーに取得する事が可能となります。

 

作業状況が知りたければ、ヒトの動きをセンサーで捉え、その情報をデータとしてシステムに連携します。
すると、どの工程で誰がどのような作業を行っているのか、その作業には何を使いどれだけ時間をかけているのかを、人手を介することなく原価管理に即反映する事ができます。
これでどの工程のどの作業の原価が高いのかが「見えて」、そこから何を「見て」何をするかの仮説と検証が可能となります。
こうした動きを前提に作られているのがJ WALDです。

 

IoTで収集できるデータも、工場の中の情報である以上、突き詰めれば数と時間です。
けれどそれをきちんと集めて賢く使えば、原価管理のための金額として見えてくるのです。
先に記載したISO22400のKPIも、一見数と時間だけで構成されていますが、実は金額として理解できることがおわかりいただけたでしょう。

 

いま、製造業では原価管理がとても重要になってきています。
よい原価管理のためには製造現場の情報が欠かせませんが、それを人手ですべて集めてくることは不可能です。
ですから今後は、IoTを利用してデータを集め、そのデータを元に緻密な原価管理をすることが、求められるようになるでしょう。

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中里 真仁(なかざと まさひと)
この記事を書いた人

中里 真仁(なかざと まさひと)

宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。

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