時間管理術と脳の働き

Marketings & Systems, 仕事効率化, 経験談・小話

 

シナプスイノベーションの長井です。

弊社にお問い合わせいただくお客様の中には、「既存の業務システムの保守をしながら、新たなIT活用の企画も担当している」とおっしゃる方が大勢いらっしゃいます。

忙しい今の仕事の合間をぬって、未来のための企画にも手をつけるのは大変なことです。

多くの方が、時間も人も足りない、と悩んでいらっしゃると思います。

 

「自分の時間の使い方」をコントロールする「時間管理」が重要

弊社の代表は、社員にたびたび「現状を変えたければ、自分がコントロールできることに集中しなさい」と言います。

つまり、過去や他人の行動を変えようとしても変えられないけれど、「自分の行い」なら今から変えられる、未来は自分で良くしていくものだということです。

 

降りかかる業務の絶対量や、手伝ってくれる人の頭数などは、残念ながらそうそう簡単に変えられません。

しかし「自分の時間の使い方」なら自分でコントロールすることができます。

というわけで、忙しい人にとって「時間管理」こそが重要だといえます。まぁ、当たり前のことですけどね。

私自身、管理職になり、子供もでき、今や自分ひとりで物事に没頭できる時間はけっこう限られています。

私にとっても、時間管理は最重要事項のひとつです。

 

「でも、タスク管理ツールやToDoリストのアプリはいろいろ試したけど、あまり仕事がはかどった記憶がない」

「重要度と緊急度のマトリクスでタスクを整理してみたけど、ほとんど重要で緊急だ」

という人は多いと思います。私もそうです。

 

「人間の脳の働き」について理解すると、時間管理はうまくいく

そこで時間管理の方法論をいろいろ試しました。

1番インパクトがあったのは、ツールでもフレームワークでもありません。

それは「人間の脳の働きについて理解する」ということでした。

脳と時間管理、一見無関係なように思えます。しかし、実は密接に関係があります。

 

ありがちな仕事の組み立て方

たとえば上司から「3時間かかりそうな仕事」を振られたとします。

するとたいていの人は「3時間の空き時間」を探します。

そして予定を押さえ、その時間をフルに使って仕事を終わらせようとします。

いたって普通の行動のようにも思えます。

しかし、実はそれが時間管理を崩壊させる諸悪の根源となります。

 

その仕事をする3時間の「脳の働きぶり」つまり「集中力」の推移について、考えてみます。

私たちが3時間かかる仕事に取り組むとき、集中力はどのように高くなり、どのように低くなるでしょうか。時間軸でイメージしてみてください。

多くの人はこう考えます。

「仕事に着手してから徐々に集中力が上がりだし、ピークに達するのに15分か20分くらい。

それから10分くらい維持し、少し疲れてきて緩やかに下がる。

仕事を続けていると、残り時間がもう30分くらいしかないのに気づいて、ふたたび集中力を取り戻しラストスパート!

そして計画通り3時間で仕事完了」と。

 

しかし実際の人間の脳はまったく違う動きをするそうです。

 

実際の集中力の推移

仕事に着手してから集中力がピークに達するまでには15分も必要ありません。すぐに脳はフル回転しだします。

高い集中力が数分続き、それから一気に低下していきます。

仕事開始後20分もするころには、集中力はもう切れかけ。生産性が低い状態です。

しかし人間の悲しい性で、「3時間かかる」と認識した仕事には3時間かけないと気が済みません。

パーキンソンというイギリスの学者が、人間は仕事をするときに、その量に関係なく与えられた時間全てを使い切ってしまうという法則を提唱しています。

というわけで、3時間が経過するまで、低迷した集中力と生産性でダラダラと仕事をします。

長距離走で、スタート直後は快調だったのに、ゴールテープが見えると失速してノロノロ歩いているイメージです。

 

大きな仕事は、分解したほうが集中できて早く終わる

うーん、工夫をすれば、もっと早く仕事を終えることができそうですね。

たとえば、高い集中力を維持できる10分~15分くらいの小さな作業に分割して、小休憩を挟んでやるとか、他の仕事と仕事のスキマ時間にちょこちょこ取り掛かるとかです。

でも、そんなに小さく分解してしまっては、逆に頭を切り替えたり何をしていたか思い出したりする無駄が発生しそう?

たしかに無駄が出ないわけではないのですが、集中力が切れることによる損失に比べると、まったく大したことがないそうです。

私の実感としてもそう思います。

 

大きな仕事は分解して取り掛かるようにすることで、私たちがいつの間にか失っていた時間を取り戻すことができる可能性があるのです。

 

・・・

学習における集中力と成績

「仕事」とはちょっと違いますが、「学習における集中力と成績」について、2017年にベネッセがおこなった実験があります。

60分ぶっ続けで勉強した中学生の集団より、「15分の勉強と5分の休憩」のサイクルを3回繰り返して、計45分勉強した中学生の集団のほうが、集中力もテストの成績の伸びもよかったというものです。

出典:2017年3月8日 ベネッセホールディングス ニュースリリース 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000562.000000120.html

 

左のグラフが、15分勉強・5分休憩×3サイクルの集団の集中力(に関与するガンマ波)の推移です。休憩するたびに集中力が回復していることがわかります。

右は、60分ぶっ続けで勉強した集団のグラフです。勉強を始めた時点をピークに、集中力がどんどん下がっています。

テストの成績についても、リンク先に記載があります。

実験対象者の母数が少ないので、統計的に有意というより、「こまめに休憩を取ったほうが学習の定着に有効である可能性がある」というレベルらしいですが、私たちをハッとさせるのに十分なデータです。

 

時間の使い方について、今一度ふりかえってみてはいかがでしょう。

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長井
この記事を書いた人

長井 建(ナガイ タケル)

株式会社シナプスイノベーションのマーケティング担当。毎朝、嫁に寝ぐせを直してもらっている。
座右の銘は「仕事は遊び、遊びは仕事」。奈良の前方後円墳のふもとで育った。

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