まふゆさんの経営計画書読み合わせ

まふゆのシナプス観察日記, 経験談・小話

【まふゆのシナプス観察日記】~シナプス社員ブログ~
シナプスの黒子Woman“まふゆさん”が、社内の取り組みや日常の1コマを題材にしたお話をお送りします。

 

3月、ぽかぽか陽気の日が増えてきて、いつもの道の桜も、少しずつ目を覚まそうとしている。

 

それはいいんだけど、今日みたいに春先の、ぬるい雨の降る日は、なんとなく息が苦しくてちょっとぐったりする。

でもいまはだいじな年度末、しかも今日はわたしの一大イベント、来年度の「経営計画書」づくり、大詰めの日だ。ぐったりしてる場合じゃない。
パソコンで原稿ファイルを開いて、手元にはノートとペンを出して、よし、気合を入れる。
きょうまで半年以上かけて作ってきた大物、さいごまでがんばろう。

 

経営計画書はその名の通り、会社の経営計画をまとめた本だ。
調べてみると、けっこういろんな会社で作られていて、どこまでどんなことが書かれているかはそれぞれちがうみたい。
どんなふうに表現されているにしても、つまりは会社と社員が目指すゴールと、そこにいたるための道のりを示した、地図みたいなものだ。

 

シナプスでは毎年あたらしく作って、すべての社員に配っている。
わたしは入社してから何回か、あたらしい経営計画書を作る仕事をしてきて、今年度はついにメイン担当だ。

 

なにから手をつけようか、ペンをにぎって考えていると、原稿のファイルにちいさく表示された、ページ数が目に入る。

 

(にしても、A5で110ページ越えか……けっこういったなあ)

 

シナプスの経営計画書は、計画を数字で表しただけのものじゃない。
会社としてたいせつにしている考え方も、たどってきた歴史も、守るべきルールも盛りこまれている。

 

とりあえずこれを見ればだいじなことは書いてあるはず、なのはべんりだ。
ただこれだけいろいろあると、細かいところまでぜんぶ丸暗記はきびしい。
人によっては、通して読むだけでもそこそこかかってしまうかもしれない。

 

だからよく理解するためには、日々ぺらぺらとページをめくる習慣がいる。
そのきっかけのひとつとして、たとえば「読み合わせ」がある。

 

 

「じゃあきのうの続きから、57ページひらいてください」

 

グループになってみんなで経営計画書を音読する、これが読み合わせだ。
わたしのチームでは、朝礼のときにできるだけ読み合わせの時間をつくっている。
リーダーのかけごえでページを開いて、ひとかたまりずつ担当を決めて、交代で音読する。

 

「はんのうてきな人は……」

 

声に出して読んでみるの、だまって目を通すより中身を意識しやすくて、わりと意味はあるとおもう。
でもそこで終わっていると、なかなかほんとうの「わかった」まではいけない。
このチームでは音読のあと、プラスの時間をとるように気をつけている。

 

リーダーが、メンバーのひとり宇都宮さんの顔をみて、たずねる。

 

「反応的ってことば、何回かきいたことあると思うんですけど、どんな意味か覚えてますか?」

 

宇都宮さんはちょっぴりはにかんで、首を横に振る。

 

「じゃあ102ページを見てみましょう。説明があります」

 

経営計画書の中には、シナプスだけで使われていることば、ITの世界のことば、だれかが本の中で作ったことば、いろんなことばが混ざっている。
すべての人が、いきなりすべてのことばを理解できるわけでも、覚えられるわけでもない。

 

「……ということで、藤本さんが『7つの習慣』という本の話をなさるときに、とくによくお使いになることばなんですね。
それで、どうしてシナプスで『7つの習慣』の話をよくするかというと……」

 

そして、まずざっくりとことば、文章を理解したあと、次はそこにつまったシナプスならではの考えを知るステップがある。

 

経営計画書は、それが作られるようになる前も含めた35年分の、シナプスの歴史がふりつもってできたものだ。
なにげないことば、なにげない文章にも、シナプスならではのエッセンスが隠れている。

 

チームで読み合わせをするようになってから、ひとつひとつの文章をできるだけきちんと説明できるように、知らないことばを調べたり、それが書かれた背景を聞いてみたりするようになった。
わたしの経営計画書には、そうしてつくったメモがちょこちょこと書かれている。

 

いま、シナプスはたいへんなスピードで変わりつづけている。
どんなものをお客さまにとどけるの? というところも、どんなふうに仕事をするの? というところも。

 

お子さんが生まれたり、お客さまのところに出向いて仕事をすることになったり、いろんな事情でしばらくオフィスをはなれる人たちがいる。
そんな人たちがひさびさにオフィスに戻ってくると、みんなおんなじように、会社がすごく変わっていてびっくりしましたと話す。

そんな人たちも、4月から新しく仲間になる人たちも、もちろんずっとここではたらいてきた人たちも、同じようにシナプスのいまと未来を思い描ける、そのための1冊になるように、毎年いっしょうけんめい試行錯誤してきた。

 

(んー、ここはちょっと説明が言葉足らずでわかりにくいな。
こっちはいろいろ書いてあるけどかえってよくわからない、よけいな文は消して図を入れてみようか)

 

今日はもう、ちょっとした表現をよりよくできないか、さいごにもう1度考えてみる日になった。

 

ここにいたるまでに、まずはシナプスの経営計画書としていま何を載せるべきか、いろんな人といっしょに考えてきた。
ふだんは開発をしている人も、営業をしている人も、たくさん原稿を書いてくれた。みんなで作った本だ。

 

(この仕事にはくわしいマニュアルがあるから、そっちに誘導する部分を入れよう)

 

毎年の経営計画書づくりには、仕事だからとうぜん〆切がある。
完ぺきを目指していつまでも手を入れ続けるわけにはいかない。

でも、毎年あたらしいことをやってみて、そこから来年はもっといいものを目指すことはできる。
今年は、経営計画書をそれ以外のいろんなツール、たとえばマニュアルや業務フローやグループウェアのべんり機能とどうにかしてつなげて、より使いやすくできないか、というのを試している。
うまくいかないかもしれないけど、そうしたら来年度、じゃあどうするか考えたらいい。

 

 

(……よし! 完成!)

 

朝から手を動かして、よしあとは誤字脱字の最終チェックを他の人にたのむだけ、となったとき、時計は5時30分をさしていた。

 

「え、5時半!?」

 

思わず声が出た。考えていたより時間がかかったからじゃない。
顔を上げたとき窓から見えた街が、まだ明るかったからだ。
ちょっと前まで、5時を過ぎたらもうほとんど暮れていたのに。

 

あっという間に春、新年度がやってくる。

 

・・・

 

どんなことばにも、辞書に載っているのとはちがう、そのことばを使う人それぞれの音、色があります。それが大好きです。
ビジネスの場面では、いやいやまずことばの定義をそろえてから話しませんか、と思うこともしばしばではありますが。

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まふゆさん
この記事を書いた人

まふゆさん

“まふゆさん”の中の人。
大阪オフィスの管理部門でこつこつ働きつつ、
ときどき社内ライター兼校閲ガールを務める。
本とお酒とNHK Eテレ「きょうの料理」が好き。

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