なんだか上手くいかないIoTの取組み(4)

IT・IoT, 製造業

シナプスイノベーション IoT事業部のマルオです。

なんだか上手くいかないIoTの取り組みシリーズも4回目となりました。(第1回はこちら

前回のブログ「なんだか上手くいかないIoTの取組み(3)」では、「IoT」に必要な2つのコンピューターシステム「OA」と「FA」について、それぞれを取り囲む人がそれぞれの仕事に取組むことで鍛えられるスキルや視点が如何に異なるのかを見て、この違いが「IoT」の難しさに繋がっているのではないかと考察しました。

第4回となる今回は、それではいったいどう「IoT」に取組めば、成功を手繰り寄せることができるのか、私なりの結論を記載したいと思います。

かつての方程式が通用しない日本の製造業の今

OA/FAは、それぞれの目的を達成するために、それぞれに発展を遂げ、それぞれが「黒子」として、世界に誇れる日本の製造業を支えてきました。しかし、今、日本の製造業は、世界から遅れを取りつつあると言われていてます。今何とかしなければ、世界市場から置いていかれる=ガラパゴス化してしまって、新興勢力に駆逐されてしまうという不安を、日本の製造業に携わる多くの方がお持ちのように感じています。一時期は栄華を誇った日本の製造業が、なぜ、そんなことになってしまっているのでしょうか。

日本の製造業の各業界、各社は、創意工夫によって、現場のたゆまぬ努力によって、世界で褒めたたえられる優秀な製品を製造してきました。
創意工夫をしたのも、たゆまぬ努力をしたのも「人」ですよね。
ところが、今、日本という国は、どんどん労働人口が減っていく状況にあります。にもかかわらず、いまだに人の創意工夫とたゆまぬ努力に頼っている部分が大きいのが現実だと思います。

その上、長い間創意工夫を続けてきた分、今やありとあらゆる所に先人の知恵が埋め込まれていて、人間がさらに工夫できるシロは少なくなってきています。若年者は、創意工夫を凝らせ! と言われ続けていますが、新しいアイデアを絞り出すのは、徐々に、物凄く難しくなっています。その結果、努力を実らせることができる人がだんだんと減り、かつて日本が栄華を誇った時代の方程式が崩れているのではないかと、私は感じています。

一方、製造業では後発の韓国、中国、インド、東南アジア各国が、今まさにグイグイ伸びています。

20世紀、製造大国として先行したドイツ、アメリカ、日本などは、迷いながら、失敗しながら、生産方法や生産設備を手間暇かけて編み出してきました。
例えば戦後日本は、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショックといった経済的な混乱に繰り返し見舞われながらも、とても長い年月をかけて、QCに始まるさまざまな創意工夫を繰り返してきました。

経済が混乱した時期には、設備投資が難しいこともありました。そのため日本の製造業は、設備をとても大切に、長期に渡って使ってきました。日本人はモノを大切にする「もったいない」の精神を持つと言います。これも加わって、日本の製造業は、古い設備をきれいに大切に使い続けることを「いいこと」とし、古い設備がいまだに現役でバリバリ生産している風景を、当たり前、「いい風景」として働き続けてきましたよね。

ところが、後発の国々は、すでに編み出されている技術を素早く導入し、上手く利用して、製造を拡大しています。

しかも、中国やインドは土地と人を、無尽蔵にではありませんが、日本よりもはるかにたくさん持っているので、まっさらの工場をまっさらのやり方で立ち上げることも、それほど難しいことではないと思われます。特に中国では、これは実際に上海から近隣150km程度の都市を自動車で移動してみて見た風景から受けた印象ですが、政府が机の上に地図を広げて物差しで線をピーっと引けばそこは道になり、交差するところあるいは道の先には街がドンとできる、四角で囲って文字を書き込めば工場やマンションがポンと出来上がる、それくらいのイメージ、スピード感で物事が進んでいっているようでした。
日本の古びた設備や、昔ながらの人に頼ったやり方が置いていかれるのも、到底無理はないといった具合ではないでしょうか。

OA/FA 隔たりを超えて「IoT」を成功に導く

そんな状況ですから、「インダストリー4.0=第四次産業革命」とか、「IoT」とか、「DX」とかいう言葉を聞くと、それに群がってしまうのは当然だと思います。人がいない、であれば省人化を図るために自動化を進めればいい、現場の創意工夫はし尽くされた、であれば、現場目線ではなく、俯瞰的かつ客観的に見て、今まで気づけなかったことをやればいい、そう思って「IoT」に取組む訳ですが、現実には、どうやらうまく行っていないらしい。

日本の製造業は、古い設備をきれいに大切に使い続けてきたとお話しました。
FAの周囲で仕事をしている人にとっては、古い機械設備をメンテナンスし、大切に使い続けることは「いいこと」です。
ところが、OAの周囲で仕事をしている人にとっては、次々と新しい技術・設備を使って業務をよりよく変えるのが「いいこと」です。
ここにもOA/FAのギャップがあり、そのために、人と人との間まで隔たってしまったのだと思います。

製造部門が、人を設備に張り付かせたくないと思って、設備の制御機器から情報を抜き取って、クラウドに上げ、スマホやタブレットから見て、必要な時に駆け付けることができるようにしようとすると、情報システム部門がセキュリティの問題を指摘してプロジェクトが立ち止まる、という話をよく聞きます。
情報システム部門が、生産現場から帳票類をなくし、スマホやタブレットで作業指示を見て、作業実績を入力できるようにしようとすると、製造部門が、手書きの情報があるから使えない、現場ではそんな機器は持ち歩けない、そんなことをせず、現場の制御機器と直接通信してほしい、と話をどんどん大きくしていき、議論が発散して進まなくなる、という話もよく聞きます。

これらは、OA/FAを取り囲む人と人との隔たりが、とても大きいと感じさせる事例です。

隔たりなく、会社として一丸となって「IoT」を進めるために大切なことは、OA/FA、どちらの視点にも偏っていない人が中心になることだと思います。けれどそうは言っても、社内でそんな人材はいない、ということも多いのではないでしょうか。

もし社内でOA/FAの両方の視点を持つ人材、あるいは偏りがなく、広く浅く実務レベルの知識を持った人材を育てようとすると、バランスの取れた研修を行ったり、部門間のローテーションを行ったりして育成をという話になるでしょうが、それには途方もない時間を要します。少なくても5~10年、長ければ20年、最悪の場合、いくらかけても育たないかもしれません。そうこうしている間に、本当に市場から駆逐されてしまいますよね。

2021年2月22日の朝日新聞に「工学系学部 進む脱「縦割り」」という記事が掲載されていました。小見出しには「AIやIoT 分野をまたがるテーマ増え、横串必要」とあり、AIやIoTといった新しい分野に対応するには、工学系の幅広い分野の知識がある人材が求められるとして、国立大学の工学部の学科を統合する「大括り化」が紹介されていました。横断的な人材の確保の難しさが読み取れました。

社内で人材を育成するのが難しいとなると、社外の人材やサービスを活用するしかありません。
大手電機メーカやソフトウェア企業は、OA/FAそれぞれに高い技術力を持ち、ファシリテート能力を持っていると期待できます。ただ如何せんOA/FAそれぞれの部門が独立して動いているので、なかなか一枚岩となって取組んではくれません。

一方、中堅や中小企業、コンサルタントには、異なったスキルの人々を束ね、調整して、物事を進めることができる人がいるかもしれません。しかし、生き残るために強みを凝縮してきたので、OA/FAのどちらかに特性の偏りが生じてしまっている傾向が強い。
社外は社外でそんな状況なのではないでしょうか。

社内で育成するのは難しい、社外に頼るにしても一長一短、ということになると、「答えなんてないんだろ?」、「じゃ、できないじゃん」というご意見が聞こえてきそうです。

ですが、OAとFAのどちらかが得意な人が、その反対側に属する企業に勤めている、そういう会社が稀にあります。そういう頼れる会社を見つけて、橋渡しを受けつつ「IoT」に取組めば、恐らく上手くいく、きっと上手くいくと思います。

ちなみに、私は色々な会社に所属して、色々な業界のお客様とお話をしてきましたが、私が直接お話しした限りでは、そういう特異な会社は、まだ一社しか見当たっていません。

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この記事を書いた人

IoT事業部 マルオ

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