連産品・副産物の原価計算について解説

連産品とは

「連産品」というコトバは、原価計算基準二九では、「同一工程において同一原料から生産される異種の製品であって、相互に主副を明確に区別できないものをいう。」と定義されています。
要は、1つの工程で同じ原料からできる、複数の、異なる性質の製造品を「連産品」と呼ぶということです。

連産品は、1つの原料から複数のモノが必然的にできてしまうために発生します。
例えば、原油を加工すると、石油製品のナフサ、ジェット燃料、ガソリン、重油等ができます。このとき、ガソリンだけを作ることはできません。
1頭の牛を加工すると、肩ロース、バラ、ヒレ、サーロイン、牛脂などができます。
これも、サーロインだけを作ることはできません。

ある原材料を加工していくと、どこかの段階で、それが複数の連産品に分かれます。
この、連産品に分かれるまでにかかる原価を、「連結原価」と呼びます。
といっても特別なものではなく、一般的な原価と同様、材料費、労務費、経費を集計したものです。

ただ、連産品ごとの原価を把握するためには、この連結原価を、製造された連産品それぞれに案分する必要があります。
この岡本清氏の『原価計算』では、案分の方法を3種類に分けています。

原価計算の案分は3種類

1. 連産品の算出量を統一的物量尺度で測定し、これを基準に連結原価を各連産品に案分する方法

2. 純分度、カロリー、比重などにもとづく等価係数を連産品ごとに設定し、これらの等価係数にそれぞれの連産品の産出量を乗じた積数の比でもって連結原価を各種連産品に案分する方法

3. 各種連産品の正常市価(分離点後の個別費があれば、正常市価から分離点後の正常個別費を差し引いた純正常市価)にもとづく等価係数を連産品ごとに設定し、これらの等価係数ごとにそれぞれの連産品の産出量を乗じた積数の比でもって、連結原価を各種連産品へ按分する方法

※出典:岡本清著『原価計算』六訂版 2000年 国元書房

これではピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡便に、牛肉に例えて考えてみます。

1頭分100kg100万円の牛から、サーロイン10kg、その他の肉90kgができたとします。



上記の1.2.3.に当てはめてみましょう。

  1. 全体の原価100万円をそれぞれの重量で案分するので、サーロインの原価は10万円、その他の肉の原価は90万円です。kg当たりの原価は同じになります。

       

  2. 「純分度、カロリー、比重など」ということで、例えば、脂の量で等価係数を設定することとし、脂の量の多寡から、サーロインの等価係数を3.5、その他の肉の等価係数を1とします。
    生産量はサーロイン10kg、その他の肉90kgですから、
    10kg×3.5:90kg×1=35:90=7:18
    全体の原材料が100万円なので、これを7:18に案分すると、サーロインの連産品原価は 28万円、その他の肉は72万円となります。kg当たりでみると、サーロイン2万8,000円、その他の肉8,000円です。


       
  3. 市場の価格が、サーロイン100g4,000円、その他の肉100g 250円だったとします。これの比率を等価係数とすると、サーロインの等価係数は16、その他の肉が1です。
    10kg×16:90kg×1=160:90=16:9
    全体の原材料が100万円なので、これを16:9に案分すると、サーロインの連産品原価は 64万円、その他の肉は36万円となります。kg当たりでみると、サーロイン6万4,000円、その他の肉4,000円です。


       

1.の算出量での案分は、現在の原価計算の考え方の基礎となる、「価値移転的原価計算」です。
原材料の価値がそのまま積み上がり、製造品の価値になるという考え方で、連産品の場合、原材料は同一でそれが複数の製品に分かれるだけですから、どのように分かれても、単位当たりのそれぞれの価値は同じということになります。

これに対して、3.の正常市価での案分方法は、「負担能力主義」によるものです。
市場での価格の大小に応じて、負担させる原価の大小を変えるという考え方です。
連産品であっても、それぞれの市場での価格が違うのであれば、単位当たりの価値も当然変わるということになります。

また原価計算基準二九には、
「連産品の価額は、連産品の正常市価等を基準として定めた等価係数に基づき、一期間の総合原価を連産品にあん分して計算する。この場合、連産品で、加工の上売却できるものは、加工製品の見積売却価額から加工費の見積額を控除した額をもって、その正常市価とみなし、等価係数算定の基礎とする。」とあります。

これは、岡本先生の『原価計算』でいう3.とほぼ同じ考え方です。

ちなみにここで、「連産品で、加工の上売却できるものは、加工製品の見積売却価額から加工費の見積額を控除した額をもって、その正常市価とみなし、等価係数算定の基礎とする。」とあります。
これは、先ほどの例に当てはめてみます。サーロインとその他の肉ができたあとに、サーロインをさらに加工してから販売する場合です。
その場合は、サーロインをさらに加工するのにかかった原価をサーロインの市場価格100g4,000円から差し引いて、その額を連結原価計算の等価係数に反映させることになります。

ところで、連産品の話をする際に必ずと言っていいくらいでてくるのが「副産物」です。
「副産物」とは、ある製品を作る際に必然的に派生して作られる、副次的なモノを言います。
「豆腐」を作るときにできる「おから」がそうです。
豆腐が主たる製品で、おからは付属的にできる副産物と考えることができます。

副産物が出る製品の原価を計算するときには、その副産物が市場で売れる価格、つまり評価額を考慮します。
豆腐とおからを作るのにかかった原価から、おからの評価額を差し引いたのが、豆腐の原価ということです。

最初に引用した原価計算基準二九に、連産品の定義について、「相互に主副を明確に区別できないものをいう。」とありました。
副産物と連産品との違いは、複数できる製品が、どちらかが主でどちらかが副次的なものと区別できるのか、両者の間の主副の関係が明らかでないのかによります。
ただし、この区分けは必ずしも明確にできるわけではなく、企業の方針により変わることが多いです。

工場の同じラインで複数の製造品を作るパターンは、連産品と副産物以外にもいろいろとあります。

例えば、同じ製造ラインで、異なる性質の製造品を組別に分類して製造する場合。同じ製造ラインで机と本棚を作る、洗濯機と乾燥機を作るといった感じです。
これらは、実際の作業では複数の組を製造するのですが、論理的には、1つの組だけを製造することも可能です。この点が連産品とは異なります。

こういったときには、組別原価計算を使います。
原材料費や加工費を、もしそれが、個別の組ごとにどちらに使われたのかが明らかなのであれば、直接それぞれの組の原価として集計(直課)します。
明確に限定できない場合は、何らかの基準に基づいて、それぞれの組に配賦します。

同じ製造ラインで、性質は同じだけれど形状や大きさといった「等級」が違うモノを製造することもあります。TシャツのS,M,Lサイズをそれぞれ作るときなどです。
これらは、等級は違っても製品としての性質は同じであること、論理的には、1つの等級のモノだけを製造することも可能であることで、やはり連産品とは異なります。

この場合は、等級別原価計算を行います。
同じ性質のモノをつくるので、基本的にはごく普通の原価計算をすれば、全体の原価は算出できます。
それを等級別に定めた等価係数でもって各製品に案分することで、等級ごとの製品原価を求めます。

1つのラインで複数のモノができる場合の原価計算を、連産品を中心に、いろいろとみてきました。
たとえ話で考えると簡単そうな気もしますが、実際の現場で製品ごと、ラインごとにこれをやるとなると、なかなか大変ですよね。

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