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食品製造業に求められること、 そのために必要なシステムとは?

更新日:2024年4月30日
食品製造業に求められること、 そのために必要なシステムとは?

食の安全、食品ロス......食品製造業には、対応すべき課題がいくつもあります。今回は、食品製造業の皆さまが日々取り組んでおられることを改めて振り返り、そのためにどんなシステムが必要なのかをお話します。

食の安全を守る2つのポイント

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食品製造業にとって"食の安全"はなにより大切なことです。これを担保するにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。

①HACCPへの対応

なによりも重要なのが、工場内の衛生管理です。2020年6月に改正食品衛生法が施行され、2021年6月からはHACCP(食品衛生上の危害の発生を防止するために、特に重要な工程を管理するための手法)に沿った衛生管理が原則として義務化されました。

HACCPでは、重要管理点(CCP)を決定し、これに対して管理基準(CL)を設定して、これらに基づき加工をモニタリングします。

CCPとは、「Critical(重要な)Control(管理)Point(箇所)」の頭文字をとった言葉です。食品の加工工程で、食品の安全性が損なわれるような"危害"を防ぐため、特に重要な管理ポイントを指します。

例えば、食品を焼いたり煮込んだりするときの温度が低かったり、異物が混入したりすると、食中毒の原因になりますよね。これが"危害"であり、加工の温度や異物混入の有無が"重要管理点"です。

重要管理点を決定したら、これに対して管理基準(CL)を設定します。重要管理点において、このラインをクリアできなければその製品は危険だと判断する、明確に計測できる基準を作るということです。

日々の加工はモニタリングされ、管理基準に基づいて安全性を判定されます。

HACCPを効率よく確実に実施するために、工場内のシステムには、管理基準を設定し、加工をモニタリングし、モニタリングしたデータを評価できる機能が求められます。

②トレーサビリティの確保

食の安全のために重要なことが、もうひとつ。「トレーサビリティ」です。

原材料をいつどこからどれだけ仕入れて、いつどのように加工して、いつどこにどれだけ出荷したのか記録して、あとから辿る=トレースできるようにします。

もし出荷した製品について問い合わせが入ったら、その製品がいつ、何からどうやって作られたのかを調べます。これが「バックワードトレース」です。また、仕入れた原材料に問題があった場合は、その原材料がどの製品に使われたかをトレースします。これを「フォワードトレース」と言います。

トレースする単位は一般的にはロットですが、モノによっては個体単位のトレースが求められることもあります。

その典型的な例が牛肉です。全ての牛に個体識別番号がつけられ、消費者のもとに届くまで、その肉や加工品がどの牛から製造されたものなのかを管理します。

ですから、食品製造業のための生産管理システムでは、「バックワードトレース」「フォワードトレース」ができなければなりません。個体のトレースを求められる食品を作っているなら、個体の識別機能も必要です。

モノをムダにしない在庫管理

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いまや「食品ロス」は世界的な問題です。農林水産省が発表した2021年の食品ロス量は、523万トン。このうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は279万トンになり、家庭系食品ロス量を上回る数字になっています。

食品ロスはもはや業界全体、更には国として取り組んでいかなければならない課題です。そうした中で、1つ1つの企業にできることは、在庫管理と賞味期限管理の徹底です。

作りすぎで過剰在庫を抱えれば食品ロスの原因になり、経営にも響きます。とはいえ、在庫が足りなければ、販売機会のロスにもなりますので、適切な時期に適切な量を作れるように在庫管理をしなければなりません。原材料から完成在庫に至るまで、今どんなモノがどこにどれだけあるか、明日、明後日にどれだけ必要になるのかまで把握しておくことが重要です。

さらに、食品製造業では、これらのモノを管理する上で、賞味期限の視点が不可欠です。

この原材料はいつまで使えるのか。今作った製品はいつまでに出荷しなければならないのか。今日加工しようと思っていた原材料が実は賞味期限切れだったとなれば、とたんに在庫が足りず機会ロスに繋がります。まして、「実は賞味期限切れだった」ことすら把握できなかったとなれば、食の安全にまで影響してしまいます。

それを効率的かつ確実に防ぐためには、在庫管理システムが必要です。紙に数値を記録する運用では、問題のある数値が記入されてもすぐに気づくことができず、ラインをストップすることが遅れ、結果的には食品ロスにつながってしまうおそれがあります。そしてそのシステムには、入荷予定や製造予定を加味して未来在庫を照会する機能や、モノごとに賞味期限を管理する機能がなければなりません。

食品製造業では、肉や魚など、個々のモノごとに重量が異なる"不定貫"も扱うため、在庫管理には痒い所に手が届くようなさまざまな機能が求められます。

ITで、より安全な食品づくりを

今回のコラムでは、食品製造業が"食の安全"を守り、"食品ロス"をなくすためにどのような取り組みをしているのか、その取り組みにITシステムがどう活用されているのかについて考えてみました。競争が激しく、様々な変化を求められる中、安全確実な食品づくりという社会的責任を果たさなければならない企業にとって、ITシステムの存在はいまや不可欠です。

シナプスイノベーションが提供する製造業向けクラウドサービス・UM SaaS Cloudは、このような取り組みをサポートできるソリューションです。加工温度などの指示内容の確認や、検査記録の管理もスムーズに行えます。スマートフォンやタブレットを使ったリアルタイムでの情報連携は、食品ロス削減に繋がります。ご興味をもっていただけましたら、ぜひ資料ページをご覧ください!

SCさん
著者:SCさん

製造業のお客様にUM SaaS Cloudの導入を支援するコンサルタント。
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