在宅勤務をさらに活かす、柔軟な労働時間制度

シャローシのお仕事, 働き方改革, 人事・労務

 

 

「育児時短勤務の間は、昇格はなしということになっているから」

10年以上前、育休から復帰したあとの最初の査定で、昔働いていた職場の上司から言われた一言。

 

出産のために1年間も休業できて、さらに時短勤務もできるなんて、あなたたちはこの時代に出産できて恵まれているわね! というのが当時一般的なパラダイムでした。
そうだよね、子育てしながら正社員のまま短時間で働き続けられるだけで、感謝しなきゃ。
そう頭では理解しながら、その期間何をどんなに頑張っても一社員として評価されないむなしさもかみしめていました。

 

 

「なんだか切なかったなぁ」

 

「浅尾さん、どうされました? 秋の空に似合うセリフが聞こえた気がしますけれど……」

 

「昨日、働き方改革の企業交流会に参加したんです。講師の先生のお話を聴いているうちに昔の記憶が戻ってきて。
そういえばまふゆさん、先日は初在宅勤務でしたね。レビュー読みましたよ。
今まで上がっていなかったアイデアもあって、参考になりました」

 

「前日に決めたのでどうなることかと思いましたが、意外と効率よく仕事ができて。
私の業務や性格には合っていたみたいです」

 

「実は私も、この夏に数日在宅勤務させていただいたのですが、同じ感想を持ちました。
1人で仕事なんて耐えられない! と最初は思っていたのですが、社内にいると何かと中断しがちな業務に集中して取り組むことができて、効率の良さは実感できました。
まふゆさんが提案されていた“理由がなくても 週1在宅勤務”、やってみたいですね」

 

「ところで浅尾さん。私ひとつ気になったことがあって。
自宅勤務って通勤時間がかからないから、希望すれば、会社で時短勤務している人より長く働くこともできる気がするんですよね。
今、シナプスで毎日在宅勤務をしているのは育児中の方がほとんどだと思うので、保育所の送り迎えの関係で短時間にしているのかもしれないですけれど、仕事を一時中断して送りに行ける仕組みがあったら、もしかしてフルタイムで働ける人も出てくるんじゃないかって思ったりしたんです」

 

「そうですね。それに、介護のために在宅勤務をする人の場合だと、勤務時間途中で介護のための時間を取ることになるでしょうから、今後途中離席を可能にする仕組みは検討しなければならないところです」

 

「でも、途中で抜けて、また戻ってって、労働時間の管理が難しそう。
始業時間や終業時間も、労働契約書で取り決めたものからずれてきてしまいますよね。
何か特別な制度はないんでしょうか」

 

事業場外労働によるみなし労働時間制

「一般的にまず検討されるのは、“事業場外労働によるみなし労働時間制”でしょうね」

 

「事業場外のみなし……? それはどのような制度なんですか?」

 

「会社の外で仕事をしていて、会社の指揮監督がおよばず労働時間を把握することが困難な場合に、会社の外で働いた時間を、その長さにかかわらず“特定の時間”労働したとみなすことができる制度です。
“特定の時間”を何時間とするかは、労使協定で定めることになります」

 

「なるほど。例えば特定の時間が“8時間”と決められていたら、途中で家事や育児で業務から離れる時間があったとしても、実際に働いた時間の長短にかかわらず“8時間”働いたものとみなしてもらえるということですね。
その時間内で終わる仕事量の予測が難しそうですけれど、労働時間管理はお互いにしやすくなりますね!

でも……今の時代に、労働時間の把握が困難なんて言えるシチュエーションが本当にあるんでしょうか。
うちの会社もグループウェアで出退勤を申請しているから、今誰がどこで働いているのか、わかるようになっていますし」

 

「その通りです。在宅勤務の場合で事業場外みなし制度を適用するには条件があって、

  1. 当該業務が、起居寝食など私生活を営む自宅で行われること。
  2. 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
  3. 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。

とされています。

シナプスに関していえば、携帯電話ですぐに連絡が取れる状態になっているし、グループウェアでメッセージは飛んでくるしで、②や③の条件を満たしているとは言えません」

 

「となると、次の手は……」

 

フレックスタイム制

フレックスタイム制でしょうか。
在宅勤務者に対し、コアタイムを設けないフルフレックスを適用すれば、その日の状況に応じて勤務時間を調整することも可能になります。

1ヵ月で勤務すべき時間数を労使協定で定めますので、例えばお子さんの発熱などで2時間しか働けないという日があったとしても、別の日にその分の時間を取り返す、という働き方も可能です。
シナプスでは、1ヵ月の総労働時間数を抑えた短時間フレックスも検討しています。

ただ、フレックス制度は時間管理を従業員本人の裁量に任せることになりますので、自律が苦手な人には不向きなんですよね。
個人事業主と同じレベルで、仕事に対する責任感を持って、自分の時間をコントロールしていくよう、個人の意識改革も必要です」

 

「ここでも改革ですか。

働き方改革で、“人”がどんどん変わっていくような感じがします」

 

「在宅勤務の拡大も、働き方改革のひとつの打ち手ですものね。
私もまふゆさんと同じように、働き方改革が“人”を変えていくような不思議な感覚にとらわれています。
ぎりぎりまでの効率化を求められて、人間として必要な無駄までそぎ落とされる感じ。

でもね、生産性の向上のカギを握るのは、人間のロボット化ではなく、人間が人間性を取り戻すことなのではないかとも思っているんですよね。

この話をしだすと長くなるので、また今度ゆっくり……」

 

・・・

 

10年以上前から在宅勤務に取り組んできた弊社。
今や、時短勤務や在宅勤務は当たり前、が時代のパラダイムにもなり、私たちの取り組みは一般的なものとみなされるようになってきました。

 

10年後、20年後の私たちのワークスタイルはどうなっているのか。
その頃第一線を担う社員のパラダイムはどのように変化しているのか。

 

シナプス流働き方改革は目先にとらわれず、これからも柔軟に進化します。

 

 

冒頭でお話しした昔の職場の名誉のため申し添えますと、現在は女性活躍推進チームが発足し、さらに両立しやすい環境が整っているそうです。評価についてはわかりませんが、4時間時短、6時間時短など、勤務時間もフレキシブルに選べるそう。先日偶然会った後輩は、そのおかげで長く働き続けられていますといい笑顔をしていました。

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浅尾
この記事を書いた人

浅尾 美佳(あさお みか)

食べてしゃべって走る、特定社会保険労務士。
使命は社内平和と世界平和。
ジョージ・クルーニーの嫁に憧れています。

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