メタバースで原価管理?

カイゼンコンサルタントのKANSINノート, 製造業

おはようございます。シナプスイノベーション 中里です。

最近、「メタバース」というコトバをよく聞くようになりました。
今回のコラムでは、このコトバに乗っかって、メタバース、仮想空間での原価管理を想像してみたいと思います。

原価シミュレーションで生産性をもっと上げよう

 

日本の製造業の歴史は、カイゼンの歴史です。
これまでずっと、製造現場のヒトたちは、生産工程のカイゼンに努めてきました。

ところが、製造業の労働生産性水準を国際比較したデータによれば、日本の労働生産性水準は、2000年には当時のOECD加盟国の中で1位だったのに、2019年には18位です。

出典:公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2021」2. 産業別労働生産性の国際比較 (2) 製造業の労働生産性水準の国際比較
なお、ここでいう労働生産性は、簡単に言えば、労働者1人が生み出す付加価値(国際比較にはGDPを使用)を割り出した指標です。

カイゼンにカイゼンを繰り返しているのに、どうしてこのようなデータが出てしまっているのでしょうか。
私は、日本の製造現場では、金額、原価の観点からのカイゼンが十分にできていないことが原因ではないかと考えています。

一般的な日本の現場カイゼンは、ヒトの作業時間短縮やロスの軽減に着目します。

ずいぶん以前から、日本の製造業は、現場カイゼンのためにコンピュータでのシミュレーションを活用してきました。
例えば、3DCADでの設計シミュレーションがあります。
さらに、最近では、仮想工場をコンピュータ上に構築して、その上で生産活動をシミュレーションする、バーチャルファクトリーという考え方も出てきました。

しかし、これらが主に取り扱ってきたのは生産活動の領域のシミュレーション、カイゼンであって、原価、つまりお金の領域ではありませんでした。

同じモノを作るのに、原材料Aを使うと10時間、Bを使うと12時間かかるとします。
生産シミュレーションは、より短い時間で同じモノを作れる方を生産効率が高いとみなすので、原材料Aを使うのがよいという結論を出します。

ところで、実は原材料Bの価格は、Aの半分だとします。
すると、加工にかかる時間が2時間長いだけなら、原材料Bを使う方がトータルの原価は低くなり、だからよりよい、と原価の観点でのシミュレーションは結論付けます。

行為に着目するかお金に着目するかで、よいとされる結論が変わりうることがお分かりいただけたでしょうか。
作業時間を削減する、ロスをなくすというのはもちろん大切なことなのですが、それだけではなく、原価の視点からもモノづくりをシミュレーションすることで、労働生産性をより高めることができると私は考えています。

 

作って売って買って使う、すべてのお金をメタバースで見てみよう

 

さて。というわけで、ここで「メタバース」です。

かつてのコンピュータシミュレーションとメタバースの大きな違いは、仮想空間上でまるで現実のように振る舞う私たちの分身、「アバター」の存在だと私は思います。

アバターは、仮想空間上の工場で実際の生産活動をシミュレーションすることができます。
どんな材料を使ってどんな風にモノを作るか、まるで本物の工場のように動きをたどれます。

現実の工場では、ヒトが生産活動をしたあと、毎月月次締めをして、そこでやっと正しい原価がわかります。
ですから、原価のカイゼンの効果を測るにはそれなりの時間がかかります。

でも、コンピュータの中の工場では、いま、原材料費は、人件費は、機械の稼働費用はいくらかかっているのか、リアルタイムで計算ができます。
そうやってはじき出した原価を、アバターや製造しているモノにそのまま表示してみてはどうでしょう。
アバターの振る舞いによって原価が変化する様子をシミュレーションすることで、現実に製造を行うときの最適解を、短い時間で得られそうです。

でも、それだけならバーチャルファクトリーとあまり変わらないのでは?

では、アバターの活動する場所を、工場の外にまで広げてみましょう。

原価の視点でモノづくりを考えるには、自社での「作る」だけではなく他社での「作る」、さらには「買う」「売る」「運ぶ」などなど、モノがお客様のもとに届くまでのあらゆる場面を考慮しなければなりません。
工場の中だけではなく、原材料の仕入先、加工の外注先、物流企業などなど、様々な場所での人間の活動が計算の材料になります。
モノづくりにかかるお金は、自分の工場だけで決められるものではないのです。

そこで、メタバースの世界の中に、工場の中の人物だけではなく、仕入先の担当者も、外注先の担当者も、いつも製品を配送してくれるトラックのドライバーも、そして完成品を買ってくれるお客様も、全員にアバターとして登場してもらいましょう。

すると、単に工場で何をどう加工するかだけではなくて、その原材料をどこからいくらで買うかも、外注品がどこでいくらかけて作られるかも、完成した製品がいくらかけてどこを運ばれていくのかも、ひとつの仮想空間の中でシミュレーションできることになります。

同じようなモノを作っている別の会社もメタバース上に存在していて、仮想の市場でお客様がモノを比較、購入する、なんてことが起これば、同様の製品が複数あるとき、どんな理由で何が選択されるかもシミュレーションできそうです。
さらに、買ったモノをお客様が使用するところまで試してみたら、製品の品質もわかるかもしれません。

狭い意味でのモノづくりにかかる原価だけではなくて、品質管理にかかるコスト、広告・宣伝にかかるコスト、製品のライフサイクルによっていずれ発生する廃棄コストなどなど、仮想空間の世界が広がれば広がるだけ、カイゼンできるお金がたくさん見えてきそうです。

机上での計算から、メタバースでのリアルなシミュレーションへ。
わくわくしてきたでしょうか? それとも、夢みたいな話だと思うでしょうか。
少なくとも、情報技術の発展が製造業のあり方を変えていくのは間違いのないことだと思います。

とはいえ、じゃあ今日からうちでもメタバース、というわけにはいかないのも事実でしょう。

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この記事を書いた人

中里 真仁(なかざと まさひと)

宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。

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