大企業出身の方が中小企業で成功するためには?

経営 事上磨練, 経験談・小話

 

 

シナプスイノベーション代表取締役の藤本です。

 

私たちは今、業界では前代未聞と思われる取り組みをしています。
50代以上のシニア層を積極的に中途採用するのです。

 

ご存知かもしれませんが、IT業界は一定以上の年齢の人にとってかなり厳しい世界です。
IT=若者中心というイメージもあるのでしょうか、ベテラン人財の活用が進んでいません。
それどころか年を重ねた技術者を軽視し、厭う傾向すらあります。

 

IT業界には、取引先に技術者を常駐させて技術提供するSESという事業形態があります。
私たちの会社がかつてこれを行っていたころは、契約の際「○○歳以上は、うちのマネージャーが使いにくいから」とNGを出されるのが公然とまかり通っていました。
本気でそんなこと言っているの? と思っていましたが事実です。
今はSESからほぼ撤退したので現状がわかりませんが、改善されていることを祈ります。

 

当社では、年齢、性別、国籍、社歴、役職等を理由に人を測ることはありません。
「誰が正しいか」ではなく「何が正しいか」を考え、お客様のために一丸となって働いているので、成果に関係のないことにこだわる必要がないのです。
そのため以前から、シニアの方から転職の応募があっても、年齢のためだけにお断りするようなことはありませんでした。

 

そして今、何故あえて「50代以上」を意識して採用をしているかというと、投資対効果が大きいと見込んだからです。

 

長年業界で働いてきて、さらに転職を考えるような方は、熟練の技術と高い意欲を併せ持っていることが多いです。
たいへんな能力を持っているのに年齢だけを理由にやりたい仕事から外され、前の会社を飛び出してきた方もいらっしゃいます。
そうした方たちに注目した結果、当社には優秀な社員が何人も集まりました。

 

ただし当然のことながら、シニア層のエンジニア全員が、どんな会社でも活躍できるというわけではありません。
転職後、なかなか結果を出せない人がいるのも事実です。
失敗のパターンはいろいろありますが、中小企業の経営者としてよく見かけるのが、大企業出身の方が中小企業に転職してつまずくパターンです。

 

 

なぜ大企業出身のベテランが中小企業に転職すると、苦労することになるのでしょうか?
私は、自分の実力を周囲に納得させるということを経験していないからだと思います。

大きな組織では、組織の体制と各人の役割が良い意味で明確です。
若い社員、役職が下の社員が手を動かし、上司や先輩がそれを管理するという仕組みが基本なので、社歴が長くなるほど実務より管理の能力が重視されるようになります。
加えて、仮に管理能力を疑われたとしても、役職や社歴に基づく立場に守られているので、部下に真っ向から反抗されるようなことはそうありません。

中小企業では兼務や1人部署が当たり前で、管理から実務までを1人で担うことがよくあります。
そういった環境で育った部下は、上司にも人を使う力と実務をこなす力の両方を求めます。
自分だけでもそれなりに幅広い業務ができる分、1度相手に能力不足の烙印を押すと、業務遂行上非協力的になりがちです。

 

つまり、中小企業で成功するためにはまず周囲に実力を納得させることが必要なのに、大企業ではそうした経験を意識して積むことがあまりないのです。

 

ではどうすれば、実力を納得させて信頼を得ることができるのでしょうか。

 

 

丁寧に仕事を教えてもらえる新卒社員やある程度の余裕のある大企業への転職者と違い、中小企業の中途採用者は、報酬に見合う成果をできるだけ早く出すことが求められます。

しかし新しい職場で実力を発揮するためには、商品やサービスはもちろん、企業文化、組織としての力量、さらにはお客様の事まで把握しなければなりません。

転職後すぐに著しい活躍を見せるというわけにはいかないのです。

 

この矛盾に焦ってはいけません。
まず、社会人としてはベテランでも新しい職場ではルーキーであることを自覚し、周囲にも明らかにしてください。
謙虚な姿勢で協力を乞い、必要な知識を収集するのです。

 

優秀な転職者の方なら、この過程でベテランならではの能力を周囲に理解させ、信頼を勝ち得ることができるでしょう。
そして充分な準備ができたとき、満を持して大きな成果を出せば良いのです。

 

転職後いきなり高い報酬を要求し、誤ったプライドに基づいた振る舞いをしていると、それに見合う成果を即要求され、周囲からの圧力に耐えられず失敗してしまいます。
ルーキーとしてのスタートアップ期間を計算に入れて仕事に取り組む必要があるのです。

 

 

中途採用に力を入れている経営者として、私は大企業出身の方の中でも、中小企業に転職して2、3度失敗をした方に注目しています。
今までのやり方が通用しないことを2度3度と経験された方は、変わらなければいけないことを自覚しているからです。

 

ですから転職を考えている方には、失敗を恐れずまずチャレンジしてほしいと思います。
そして企業の側は、単に転職回数だけで判断するのではなく、履歴をよく分析してみてください。
すると、お互いにとって良い出会いが生まれるのではないでしょうか。

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代表取締役社長 藤本繁夫 
この記事を書いた人

藤本 繁夫

株式会社シナプスイノベーションの社長をしています。
時空を超え、国境を超え、業界の常識を超え、びっくりポン!なアイデアを発信します。

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