我が社はなぜ定年制を廃止したか

経営 事上磨練, 働き方改革, 経営・マネジメント, 弊社の取り組み

 

 

シナプスイノベーション代表取締役社長の藤本です。

 

当ブログではこれまで、「働き方改革」に何度か触れてきました。
今回からは特に、「定年制と老後」をテーマにした働き方改革の話をしたいと思います。
1回目の今回は当社の制度と運用の実態についてです。

 

当社が定年制を廃止した理由

当社は、数年前に定年制を廃止しました。

 

廃止理由は実にたくさん挙げられます。
まず個人の金銭面では、今後公的年金の受給年齢が引き上げられ、60歳での定年の後、数年間フロー収入がなくなると予想されたこと。
フロー収入がない間に、せっかくもらった退職金が目減りすること。
そもそも若い世代にとっては、少子高齢化の時代、退職金の財源そのものに不安が残ること。

 

また社会的には、退職者の持つリソースが、十分活用されずに眠ってしまう恐れがあること。
現代の60歳は体力的にも知力的にもまだまだ働ける年齢ですし、若い人にはない経験を保有しています。そうした有益な人材資源の損失を見逃すことはできません。

 

 

先日、有名な代議士先生の講演を拝聴しました。
その際、公の統計データを元に、昭和生まれの高齢者は今、大半が自宅でTVを視聴するのに時間を費やしているというお話をしていただきました。
有益な人財の時間がTV視聴に消費されていると考えると、労働生産力という意味では大変な損失です。
(TV局の方、ごめんなさい。私はずいぶんTVにお世話になっております)

 

それに、長年集団生活をしてきた人にとって、突然1人で退職して1人で老後の生活を営むことはなかなか困難です。
そんな人をいきなり集団から放り出すのは、個人にとっても社会にとっても負担でしょう。

 

60歳で定年、退職金受給、公的年金も受給して生活というのが、戦後の一般的なロールモデルでした。
しかし現在、退職金も公的年金も、もはや老後の生活に安心安全を与えるものとして機能していないと私は考えています。
そのため、柔軟な人生設計を一人ひとりが選択できるよう、社員全員合意の上で廃止にしたのです。

 

男性と女性の違い(当社の事例)

今、当社の最年長社員は65歳の方で、男女1名ずつ在籍しています。
60歳を超えて仕事を継続される方が、他にもぞくぞくと増えてきています。
どの方も長年培った経験のもと素晴らしい成果を上げ、若い世代に良い影響を与えてくれています。

 

あくまで当社の事例ですが、60歳以降の人生設計をするにあたって、男性はフルタイム勤務を望むのに対して、女性は段階的な勤務減を望んでいるという事実があり、非常に興味深いです。
この世代の男性は家に長時間いた経験がないので、急に出勤が減っても家族が戸惑うということで、配偶者の方がフルタイム勤務を促すのではないか……と、勝手な憶測にすぎませんが、想像しています。
対して女性は、仕事一筋ではない第二の人生に積極的に取り組む姿勢が見られます。
(繰り返しになりますが、あくまで当社の事例であり、私見に過ぎません)

 

「退職制度」は実はまだ歴史が浅い

江戸時代以前には、現代のような退職制度はありませんでした。
退職(金)制度が生まれたのは明治時代以降のことです。
当時は技術の流出やライバルの出現を防ぐため、労働者を囲い込むのを目的としていたとも言われています。
制度の目的自体、わずか100年ほどのあいだに揺れ動いているということです。
一定の年齢を迎えたらいっせいに仕事を辞めるという制度は、人類数千年の歴史からみるとまだまだヨチヨチ歩きの検証過程にあるのです。

 

さらに、戦後的なロールモデルが形成されて間もないころと比べると、人口構成や平均寿命などの前提も大きく変化しています。
こうしたことを踏まえると、60歳という年齢での一律引退にこだわるのは、いささか違和感のある話ではないかと思います。

 

 

定年制をテーマに、私の考えと当社の事例をご説明いたしました。

次回は、退職者を一人ぼっちにしない方法についてお話したいと思います。

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代表取締役社長 藤本繁夫 
この記事を書いた人

藤本 繁夫

株式会社シナプスイノベーションの社長をしています。
時空を超え、国境を超え、業界の常識を超え、びっくりポン!なアイデアを発信します。

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