システムの寿命、在庫管理の柔軟さは、「コード体系の設計」で決まる

カイゼンコンサルタントのKANSINノート, 製造業

 

 

おはようございます。

シナプスイノベーションの中里です。

 

先日、家のテレビの音が出なくなりました。

映りは問題ないので、音声をコンポーネントステレオから出しています。

このテレビを購入してから10年以上たっています。

故障があってもおかしくないかと思い、そろそろ買い替えも考えようかと、ネットで新しいテレビを探しました。

 

そのときちょっと気になったのが、型番です。

コマーシャルや電器店の店頭で目にする「ブランド名」ではなく、数字とアルファベットとハイフン等の記号で構成されているあれです。
PCにも同じような番号が振られていますね。

 

今まで、型番を気にした事はほとんどなかったのですが、改めて見ると、アルファベットと数字の組み合わせがなかなか興味深いです。

こうしたコードには、数字と文字の羅列に意味があるものとないものがありますが、ネットで見かけたテレビの型番にはどうやら意味がありそうです。

メーカーの方が、なんらかの基準に沿って1つ1つ付けているのだと思いますが、何を意味するのかはよくわかりません。

なんとなくグレードが高い(値段も高い)ものほど数字が大きいようにも見えます。

 

 

電化製品に限らず、モノの製造の過程では、モノを品目、品番、品目番号などと呼ばれるコードで管理しています。

製品の型番として表示している番号と製造過程での番号は、同じことも違うこともありますが、どちらにしても各コードには独自の体系があります。

 

例えば型番(品番)が「TXD11-100×60-R」で、「TXD11」は製品のシリーズを表し「100×60」はサイズを表し「R」は色を表すというようなコード体系があります。
これは、1つのコードに複数の意味を持たせているパターンです。

 

それに対して1つのコードに1つの意味だけを持たせる体系もあります。

例えば、「製品シリーズ」というコードで製品群を表し、「サイズ」、「色」等はそれぞれ別のコードで表します。各コードが持つ意味は1つだけです。

 

 

では、製品、その属性などを表す場合の、複数の意味を持つコード体系と1つの意味だけを持つ体系とを比較してみます。

複数の意味を持つコードのメリットは1つの意味だけを持つコードのデメリットに、デメリットはメリットになりますが、どんな違いがあるのでしょう。

 

1.情報の判別しやすさ

複数の意味を持つコードの場合、たった1つのコードから複数の付属情報が判断できるというメリットがあります。
ただし、情報を読み取るには複雑なコード体系を覚える必要があります。

 

2.持続性

製造業がしばしば抱えている課題に、コード体系のローカルルール化があります。

製品や原材料等の多様化が進み、より細やかな製品管理を求められるようになった結果、事業部や工場の単位でコード体系に独自の意味を持たせるという状況が発生しています。

また、意味を持たせた部分の桁数がシステム上足りなくなり、コードが取れなくなっている、または取れなくなりそうな企業もあります。

複数の意味を持つコードは、1つの意味しか持たないコードと比べて体系が複雑ですから、こういった問題が起きる恐れが大きいです。

 

3.購買等、社外との取引

2.で述べたようなローカルルールが発生していると、同じモノなのに工場によってコードが違うということが起こりえます。

すると、同じモノを集約できないために原材料の集中購買ができず、スケールメリットが得られないなどといった事が発生する場合があります。

原価管理の面でも、同じモノが違うコードとなっていると正確な原価が計算できません。

 

4.事業統合等

社内の組織再編や他社との事業統合等によって、違う組織が1つになるときには、システムを統合することが必要です。

このときそれぞれの組織が複数の意味を持つ複雑なコードを運用していると、システム統合のハードルを高くするうえ、業務運用の統合にも影響する場合があります。

 

今挙げた通り、複数の意味を持つコード体系には難しい点が多いです。

 

昔のコンピュータシステムには、データ量等いろいろな制限がありました。

そのためひとつのコードの中に、できるだけたくさんの意味を持たせる方がよかったのかもしれません。

また生産は少品種多量が基本でしたから、やみくもにモノの種類=コードの数が増えることはありませんでした。

 

しかし今、生産の基本は少品種多量から多品種少量へとシフトして、モノの種類が増えています。

複数の意味を持つコード体系をそのまま継続する事は難しくなってきています。

これまでのコード体系の見直しを求められることも起きてくるでしょう。

 

現代では、シンプルに1つのコードには1つの意味とする方が、環境変化にも対応しやすく合理的です。

サイズや色など、これまでコードの中で扱ってきた変量が多い情報は、「品目の属性情報」とするよう考え方を変えれば良いです。

 

 

シナプスイノベーションが提供する生産管理システム「J WALD」には、品目の属性を管理できる機能として「品目規格」があります。

品目ごとに、管理する属性情報の数と内容を設定する事が出来ます。

 

また、同様の考え方で在庫を詳細に管理できる「在庫セグメント」という機能もあります。

もし、現行の複雑なコード体系の見直しを迫られているのならば、こうした機能にも目を向けて、「1つのコードには1つの意味」とシンプルに考えてみてはいかがでしょうか?

製造業向け生産管理システム「J WALD」
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中里
この記事を書いた人

中里 真仁(なかざと まさひと)

宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。

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