経営者の仕事、「謝ること」について

経営 事上磨練, 経営・マネジメント

 

シナプスイノベーション 代表取締役社長の藤本です。

 

私は常々、経営者の仕事は「謝ること」と「グレーゾーンに決着をつけること」だと社員に話をしております。

今回はそのうちの1つ、「謝ること」についてお話したいと思います。

 

 

企業が不祥事を起こすと、経営陣がマスコミ関係者の前で一斉に頭を下げるシーンをよく目にします。

彼らは自分たちの組織が招いてしまった結果について謝罪するのですが、それに続けて、「途中経過を知る立場になかった」とか「事実関係を把握したのが最近だった」というような発言をしているのが目立ちます。

何故このような言いわけをするのか? 実は、組織の体制や社員の評価制度に根深く関係しています。

 

 

個人にとって、組織の中での所属や役職が決まるということは、何かしらの任務が与えられることを意味します。

 

任務が順調に進んでいるあいだは良いのですが、予定通りに進まなくなったり問題が発生したりすると、「善意の隠ぺい」が始まります。

「善意の隠ぺい」とは、個人(または自分たち)で解決できるかもしれない問題について、周囲に相談したり助けを求めたりすると相手に迷惑がかかるだろうと考え、報告や連絡、相談を怠ることです。

 

そして大抵は、同時に「保身の隠ぺい」も始まります。

与えられた任務を自分(たち)で達成できないことが明らかになると、評価が下がるとか、管理能力を疑われると考え、事実を隠そうとするのです。

これは組織の中でしばしばみられる反応であり、評価制度が減点式だったり、懲罰で社員をコントロールする体制だったりの企業では特に顕著です。

 

「善意の隠ぺい」と「保身の隠ぺい」は、組織の階層ごとに発生します。

トラブルが起きたとき、現場担当は直属の上司に問題を過少に報告し、上司はその上の立場の人間に、さらに過少な報告をしてという具合です。

そのため階層が多い組織であればあるほど、ちいさな問題でも対処するタイミングが遅れて、事態が指数関数的に大きくなり、一気に経営陣の責任問題にまで発展してしまうのです。

 

 

隠ぺいの積み重なりを防ぐための工夫としては、内部監査や内部告発制度の導入などがあるのですが、それなりのコストを要します。

そこで、コストをかけられない中小企業にとれる最も効果的な方法は、「社長の仕事は謝ること」だということを、社内に告知しておくことです。

 

どんな人でも、ミスを起こして謝罪するのは嫌なものです。

ですが、だからといって失敗を隠ぺいすると後々大きな問題になるのは、先に述べた通りです。

ですからまず、本当に何かあったときは経営者が代表して謝るのだということを社員に明らかにしてあげてください。

その上で、社員が自分(たち)のミスを報告しやすい仕組みを作る必要があります。

 

そこで、とはいえ社長も謝罪するのは嫌なのだと伝え、そのような事態にならないために、問題が大きくなる前に報告してくれれば責任を追及せず、ともに問題解決を図ると約束します。

起こしてしまったミスの減点は、問題が小さいうちに報告してくれた、つまり社長が謝ることを防いでくれたことの加点で、プラスマイナスゼロにしてあげるよといったイメージです。

正しい報告をするのが良いことなのだと理解してもらえれば、自然と隠ぺいはなくなります。

 

 

謝るのは社長だと初めから決めておけば、問題がおきたときの対処もスピーディです。

責任の押し付け合いも起こりませんし、「なんで俺が謝らなくてはならんのだ」とか「うちの代表に恥をかかせるのか」などというセリフも聞こえません。

当然のことながら、組織の風通しはとてもよくなります。

 

「社長の仕事は謝ること」だと明言することで、「善意の隠ぺい」や「保身の隠ぺい」が発生する雰囲気を解消するのです。

皆さんの会社でも、一度試してみてはいかがでしょうか?

 

 

次回は、「グレーゾーンに決着をつける」ことについて解説させていただきます。

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代表取締役社長 藤本繁夫 
この記事を書いた人

藤本 繁夫

株式会社シナプスイノベーションの社長をしています。
時空を超え、国境を超え、業界の常識を超え、びっくりポン!なアイデアを発信します。

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