街頭カメラ活用の先駆者~日本人から見た英国~

経営 事上磨練, 経営・マネジメント

シナプスイノベーション代表取締役の藤本です。

先日、久方ぶりに英国に出張してきました。

目的は3点、英国グループ会社・Software Imaging Limited (以下SIL)との共同商品開発の打ち合わせ、取引先への表敬訪問およびサービスの日本導入検討、そして、今流行りのAR/VR(拡張現実・仮想現実)の開発企業との技術ミーティングです。

SILとの打ち合わせでは、同社の得意とするアジャイル開発の本質に触れ、大変感心いたしました。

また取引先への訪問時には、日本とは異なるビジネスマナーに改めて驚きました。

たとえば日本では、初めて会う方とのご挨拶はまず名刺交換から始まると思います。

ですが今回訪問した企業では、まず担当の方々と握手や言葉のみを交わしたあと、要職の方がいらっしゃって、日本でいう名刺にあたるビジネスカードを交換、最後に担当の方との交換という具合に話が進みました。

あちらではこうしたスタイルが一般的だそうです。

そしてAR/VR開発企業とのミーティングでは、最先端の画像解析技術を学び、大いに収穫を感じております。

AR/VRというと、いかにも華やかな映像や音声に気を取られがちですが、それを支えているのは、画像解析も含め、数々の緻密な技術なのです。

そこで今回は、同じく画像解析技術の活躍の場であり、英国がその先端を行っている、街頭カメラの画像利用についてお話させていただきます。

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英国には、国内全体で400万台を超える監視カメラが設置されています。

ヒースロー空港は、セキュリティゲートを抜けてから搭乗ゲートに至るまでのルート上に、免税店がかたまって配置され、旅行客はそこを歩くだけでさまざまな店を見てまわれる構造になっていることで有名です。

ですが、このエリアにはたくさんのカメラが設置されており、買い物をしている間も四六時中監視されていることは、多くの方は意識していないのではないでしょうか。

撮影した映像は、画像解析システムと連携すれば、性別・年齢などの人物属性を割り出したり、特定の人物の写真と照合したりすることが可能です。

空港では犯罪者データベースの顔写真と照合し、テロ対策に役立てるという話もあるそうです。

ロンドン地下鉄では、映像から荷物の置き去りを自動検知する仕組みが導入され成果をあげていると聞きました。

さらに、道路上のカメラを利用して渋滞を緩和する仕組みも検討中とのことです。

これだけカメラと画像認識の連携が進んでいる英国では、その活用は防犯・監視目的にとどまりません。

小売店に設置されているカメラの映像を使って、来店者の属性を分析したり、顔照合でVIP顧客の来店を把握したりする実験が進んでいるそうです。

一方、技術面では英国に劣らない日本では、その活用、特に防犯・監視目的以外の活用はなかなか広まっていません。

後れを取っているのは技術ではなく、法整備ではないかと思います。

英国では90年代以降監視カメラの設置が推進され、その数は増え続けていますが、同時にカメラの設置や撮影した映像の利用を規制する法律も制定されています。

技術活用とプライバシーの兼ね合いが、活発に議論されているのです。

対して日本では、カメラ自体はそれなりの数が設置されているのですが、どこまでの利用をよしとするかのまとまった法的根拠がありませんでした。

そうした状況下では、法律への抵触が気がかりとなり、易々とは新しい取り組みに手が出せません。

たとえば、お店のPOSレジ上にカメラを設置して、取得した画像データから来店者の属性を割り出し、購入に至った人と至らなかった人の傾向を数値化するというような仕組みは、すでに実用化レベルにあります。

非購買者の傾向が把握できれば、仕入商品の検討、新商品開発など様々なマーケティング上の活用が期待できるのですが、先に述べた法整備の後れも一因なのか、残念ながら一般化には至っていません。

もちろん日本でも、画像活用とプライバシーについての議論はなされており、法改正も進み始めたようです。

個人情報を悪用する人を罰し、一般にはデータの活用を促すような法律がもっと整えば、新たなサービスが次々に生まれ大変面白いと思うのですが、皆さんはどうお考えになるでしょうか。

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AR/VR開発企業の訪問は、こうした問題について考えるよい機会ともなりました。

ところでこの会社、ブリストルというところにあるのですが、ここはかつて奴隷貿易に深く関わった街で、時の富豪たちが懺悔の意味も込めて多くの教会を建てたそうです。

今でも5つの教会があるそうですが、その多くは教会として機能しておらず、貸事務所のように使用されているとお聞きしました。

現に訪れた会社は先ごろ教会に引っ越しされたということで、最初の打ち合わせはなんと教会の中で、厳かに行われました。

そこで伺ったのですが、英国人は宗教にはあまり熱心ではなく、日曜日の礼拝などにはいかない人が多いのだそうです。

このとき初めて知りましたが、あれはアメリカなどで盛んな文化のようです。

ヨーロッパの辺境の島国である英国とアジアの辺境の島国である日本の共通性をお聞きでき、大変興味深く感じました。

辺境の国の力をテーマにしたお話も、またの機会にさせていただきたいと思います。

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代表取締役社長 藤本繁夫 
この記事を書いた人

藤本 繁夫

株式会社シナプスイノベーションの社長をしています。
時空を超え、国境を超え、業界の常識を超え、びっくりポン!なアイデアを発信します。

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