ものづくりへの情熱―戦闘機「飛燕」

カイゼンコンサルタントのKANSINノート, 経験談・小話

 

おはようございます。先週、誕生日を迎えた中里です。

今回は、古い飛行機が好きな私が出会った、ものづくりへの情熱のお話です。

 

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先日、神戸のポートターミナルにあるホールに、川崎重工創立120周年記念展を観にいってきました。
目的は、「飛燕」という第二次大戦中の戦闘機です。

 

「飛燕」とは、当時の川崎航空機が開発製造を担当し、昭和18年に陸軍に制式採用された、三式戦闘機の愛称です。
経済産業省が認定する近代化産業遺産群として認定された、文化遺産でもあります。

 

エンジンは、ドイツの戦闘機であるメッサーシュミットBf109Eに搭載されていた、ダイムラーベンツ社の液冷エンジンDB601……と、くわしいことはさておき、
今回展示されている機体は、現存する唯一の「飛燕」だそうです。

 

戦後、アメリカ軍が接収し、その後、1953年に返還されて鹿児島で展示されていたのですが、今回川崎重工が、創立120周年記念に合わせて修復しました。

 

修復プロジェクトを遂行したのは、ボランティアの社員たちです。

 

修復プロジェクトの目的は、アメリカ軍によって計器類などが交換されていた機体を、オリジナルに忠実に復元することでした。

 

しかし、設計図は残っていません。

 

そもそも、オリジナルの機体を見たことがある人は、今は誰もいません。

 

当時の設計者の手記や別の戦闘機の資料などの調査が行われ、計器類などは、ネットオークションで落札してまで、入手したそうです。
それが揃ってようやく、修復作業が始まりました。

 

皆、ボランティアなので、仕事の合間の作業です。始業前、就業後、昼休み、土日も作業をしました。
設計書はなく、資料だけが頼りなので、ほとんど手探りの作業です。
しかも、扱うのは文化財です。手抜かりはできません。とことんやります。
どれほどの熱い思いで、仕事に打ちこんだのでしょう。

 

そしてついに、修復作業完了。

今回の神戸での展覧会の後は、機体の生まれ故郷である岐阜で展示されるそうです。

 

「飛燕」は、戦争のために作られた飛行機です。
ですがそれを戦争のない今の日本で見ると、純粋にきれいなフォルムだと感じます。
ひたむきに機能性を追い求めた結果の美しさです。

 

当時の技術者は、優秀な飛行機を作りたいと願い、理想を込めて図面を引きました。
でも、実際に製造し運用するとなると、壁につきあたることが何度もあったといいます。
それでも、あきらめずに改良を模索していたところに、終戦が訪れました。
平和と引き換えに、「飛燕」の改良は頓挫しました。

 

しかし、技術者たちの飛行機への思いは絶えることなく続き、のちに戦後初の国産旅客機、YS-11の誕生にまでつながっていきます。
そこには、もはや執念ともいえるほどの、ものづくりにかける熱い思いがあります。

 

現代に「飛燕」をよみがえらせた修復プロジェクトと、同じ思いです。

 

「飛燕」を製作した技術者と、現代の修復プロジェクトの人たちの間には、「ものを作る」ことへの情熱が受け継がれています。
そして、自分たちの組織への誇りもです。

 

だからこそ、「飛燕」はこれほど美しいのではないでしょうか。
展示会場では、この「飛燕」をじっと眺めている人たちが大勢いました。

 

私も、「飛燕」のプラモデルを何機か作成したことがあります。「ゼロ戦」よりも好きな機体です。

 

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今私は、FCSの新しい製品である、「プロセス系生産、ERP連携/IoT対応 生産管理システム J WALD」を製作するプロジェクトに携わっています。
「飛燕」に例えると、図面が引けて、製造過程に入るところまで来ています。来年4月には、リリースする予定です。

 

すでにいくつかの問題をクリアしてきましたが、これから先も、様々な壁につきあたるでしょう。
その時は、「飛燕」の美しいフォルムと、それを作った人たちの情熱を思い出して、乗り越えたいと思います。

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中里
この記事を書いた人

中里 真仁(なかざと まさひと)

宝塚歌劇をこよなく愛する生産管理&経営管理コンサルタント。
神戸生まれの神戸育ち。海を眺め、山へ登ることが好き。
関心あること、感心したこと、歓心を得た事を綴ります。

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