食品製造業に求められること、そのために必要なシステムとは?

シナプスイノベーション 営業本部・中里です。

「食の安全」、「食品ロス」、そして「原価管理」。食品製造業には、対応するべき課題がいくつもあります。
今回は、食べ物を製造する方々が日々どんなことに取り組んでいて、そのためにどんなシステムが必要なのかをお話します。
生産管理システムをお探しの方はコチラもぜひ、ご覧ください。

衛生管理とトレーサビリティ

食品製造業にとって、「食の安全」はなにより大切なことです。
これを担保するにはどのような取り組みが必要でしょうか。
当然、工場内の衛生管理は必須です。

食品製造工場の衛生管理のために「HACCP」という手法を導入することが、この2021年6月に義務化されました。
詳しくは2018年12月のブログに書いておりますのでご覧ください。

このHACCPの12の手順の中に、「重要管理点(CCP)の決定」があります。

CCPは、「Critical(重要な)Control(管理)Point(箇所)」の頭文字をとったものです。
食品の加工工程で、食品の安全性が損なわれるような「危害」を防ぐために特に重要な管理ポイントを指します。
例えば、食品を焼いたり煮込んだりするときの温度が低かったり、異物が混入したりすると、食中毒の原因となります。

これが「危害」であり、加工の温度や異物混入の有無が「重要管理点」です。
重要管理点を決定したら、これに対して、管理基準(CL)を設定します。
重要管理点でこのラインをクリアできなければその製品は危険だと判断する、明確に計測できる基準を作るのです。

日々の加工はモニタリングされ、管理基準に基づいて安全性を判定されます。
HACCPを効率よく確実に実施したければ、工場内のシステムには、管理基準を設定し、加工をモニタリングし、モニタリングしたデータを評価できる機能が求められます。

IoTを使って、センサー等で加工温度や異物混入の有無をモニタリングし、モニタリングしたデータを生産管理システムに自動連携し、システム上でデータを評価できるようになれば、ヒトを介さずに、リアルタイムで衛生管理ができます。
問題を検知したらその場で工程を止めて、問題のあるモノが次の工程に流れないようにすればよいのです。

「食の安全」のために重要なことに、もうひとつ、「トレーサビリティ」があります。

原材料をいつどこからどれだけ仕入れて、いつどのように加工して、いつどこにどれだけ出荷したのか記録して、あとから辿る=トレースできるようにするのです。
もし出荷した製品について問い合わせがあったら、その製品がいつ、何からどうやって作られたのかを調べます。これを「バックワードトレース」と言います。

また、もし仕入れた原材料に問題があったことがわかったら、その原材料がどの製品に使われたのかをトレースできることも必要です。これを「フォワードトレース」と言います。
トレースする単位は一般的にはロットですが、モノによっては個体単位のトレースが求められることもあります。
牛肉がその典型で、全ての牛に個体識別番号がつけられ、消費者のもとに届くまで、その肉や加工品がどの牛から製造されたものなのか管理されます。

そのため、生産管理のシステムは「バックワードトレース」「フォワードトレース」ができなければなりませんし、個体のトレースを求められる食品を作っている製造業なら、個体の識別機能も必要です。

モノをムダにしない在庫管理

いまや「食品ロス」は世界的な問題です。

「日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が捨てられており、これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量。日本人1人当たり、お茶碗1杯分のごはんの量が毎日捨てられている計算になります。」(出典:農林水産省 aff 2020年10月号
このうち、家庭ではなく製造・流通の過程でのロス(事業系食品ロス)が約半分強に上るそうです。
国はこの事態を改善するために、例えば次のような呼びかけを業界全体に向けて行っています。

「サプライチェーンにおいては、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例、いわゆる「3分の1ルール」があります。このルールのもとでは、賞味期間の3分の1以内で納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、行き場がなくなり廃棄となる可能性があります。このため、厳しい納品期限を緩和することは食品ロスの削減につながることが期待されます。」(出典:農林水産省 食品ロス削減に向けた商慣習見直しに取り組む事業者の公表(令和2年10月30日)

これは国として、業界として取り組んでいかなければならないことですが、一方、食品ロスの削減に向けて個別の企業にできることは、在庫管理と賞味期限管理の徹底です。

作りすぎによって過剰在庫を抱えると食品ロスの原因になりますし、経営にも負担になります。
とはいえ、在庫が足りなければ、販売機会をロスすることにもなりますので、適切な量を適切な時期に作れるように在庫管理をしなければなりません。
そのためには、原材料から完成在庫まで、今、どんなモノがどこにどれだけあるか、更には明日、明後日にどれだけ必要になるのかまで把握しておくことが重要です。

そして食品製造業では、これらのモノを管理する上で、賞味期限の視点が不可欠です。
この原材料はいつまで使えるのか。今作った製品はいつまでに出荷しなければならないのか。
これがあいまいで、今日加工しようと思っていた原材料が実は賞味期限切れだったとなれば、とたんに在庫が足りず機会ロスに繋がります。
まして、「実は賞味期限切れだった」すら把握できなければ、「食の安全」にまで影響しています。

そのため、在庫を管理するシステムに、入荷予定や製造予定を加味して未来在庫が照会できる機能や、モノごとに賞味期限を管理する機能が必要です。
食品製造業では、不定貫といって個々のモノごとに重量が異なる肉や魚なども扱いますから、在庫管理には様々な、痒い所に手が届く機能がいるのです。

正確な原価を導き出す

モノの管理ができたとしても、原価の管理ができなければ経営は成り立ちません。

よって「原価管理」は製造業には欠かせません。
一般的な原価計算では、原材料から製品を完成させるまでにかかった費用を積み上げ、製品の原価として算出します。
この時、原材料のロスや製品のロスについては、良品の製品がその原価を負担します。
しかしこの手法では、製品全体にかけた費用のうち結局どれだけがロスになったのか、はっきりと把握することができません。

そこで、マテリアルフローコスト会計(MFCA)といって、製品を作るのにかけたコストすべてのうち、ロスを作るのにかかったものはどれだけかを割り出す手法があります。

システムがこうした手法にも対応していると、より正確な原価計算が期待できます。
また、労務費も原価の一部ですから、これを算出するためにヒトの作業時間を管理しなければなりません。

しかし食品製造業では、このヒトの作業時間を正確に把握するのは難しいことと見なされており、予定原価を使う、概ねの割合での配賦により算出するなど、簡便的な方法で管理なさってきた企業が多いようです。 もし、IoTによってヒトの動きを把握・記録できたなら、このような簡便な方法と比べ、より正確な労務費が算出できるでしょう。

ITでより安全確実な食品づくり

食品製造業が日々どんなことに取り組んでいるのか、それに対してITシステムはどんな貢献ができるのか、3つの視点で見てきました。
ご紹介したような機能を兼ね備えたシステムがあれば、安全な食品を、より確実に効率よく世の中に送り出すことができるでしょう。

当社の「J WALD」とそれを取り巻く製品群は、こうした取り組みをサポートできるソリューションだと自負しています。
ご興味を持っていただけましたら、製品紹介ページもご覧ください。

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