製造業におけるDXとは?

はじめに

今回は、製造業における「DX:デジタルトランスフォーメーション」の話です。

DXとは、デジタル技術で世界をより良く革新すること

まず、DXの基本的な定義から。
*ウィキペディアには、“「情報の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。“ とあります。


*出展:「デジタルトランスフォーメーション」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)(2023年2月14日16:30時点)

また、2019年*に経済産業省が公表した定義では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 となっています。

*出展:「DX 推進指標」とそのガイダンス 経済産業省 令和元年7月

まとめると、「人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるために、デジタル技術を用いてラディカルイノベーション(根本的な革新)を起こすこと」といえるでしょう。

DXの前段階「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」

デジタルトランスフォーメーションとよく比較される言葉に、「デジタイゼーション(Digitization)」「デジタライゼーション(Digitalization)」があります。

「デジタイゼーション」は、ビジネスプロセスは変えず、元々のプロセスにデジタル技術を導入して、特定の業務を効率化する段階です。

製造業の仕事でいうと、例えば、製造工程や設計の作業を効率化するために、IT機器やツールを導入することです。

デジタイゼーション以前の製造業では、ヒトが設計図を手書きして、これをコピーして各工程に配り、その設計図を見ながら作業を行っていました。

設計に変更があると、ヒトが設計図を修正して、コピーして、配りなおします。

これが何度も繰り返されると、どの設計図が最新かわからなくなってしまいますね。

ここにITを導入してみましょう。

コンピュータで設計図を書く際に、CAD(コンピュータ設計支援)を使ってみます。これで最初の設計作業と設計変更時との効率化が図れます。

各工程に紙の設計図を配るのではなく、タブレットで見てもらうことにします。コピーして配る手間も、どれが最新かわからなくなることもなくなります。

この段階は、すでに実現している製造業の企業も多いかと思います。

次の「デジタライゼーション」は、デジタル技術を導入することで、ビジネスプロセスを変更し、業務全体を効率化する段階です。

製造業なら、生産管理システムを導入することが挙げられます。

生産管理システムを導入すると、各工程の状況、進捗を会社全体で把握できるようになります。

さらに大切なのは、システムを導入するときに、これまでの業務を標準的なフローに合わせて見直すことが求められるので、このタイミングで業務全体を最適化できるということです。

この段階は、すでに実現している企業もある一方で、まだ取り組めていないとか、一度は取り組んだけれど、システムがすでに古くなっており、このままでは次のDXの段階に進めないという企業も多いかと思います。

そして、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」

これはデジタライゼーションまでの、ひとつの企業とその周辺のいくつかの企業だけではなく、社会全体に大きく影響する取り組みです。

DXを想像し、実現する

製造業がDXを起こせたら、どのようなことになるでしょう?私の想像を書きます。

たとえば、モノが作られて売られるまでの流れ。サプライチェーンには、モノを作る製造業⇒モノを運ぶ物流業⇒モノを売る流通業が関わっています。原材料の調達から、製品を売る最終の小売業までですね。

SCM(サプライチェーンマネジメント)の考え方では、この一連のモノとお金の流れをまとめて見直すことで、全体の最適化を目指します。

このために必要なのが、サプライチェーンに関わるすべての情報を、すべての企業、ヒトの間で、一気通貫で共有することです。

IoTで製造にかかわる機器やヒトからくまなくデータを収集すれば、何をどこ(この“どこ”は、サプライチェーン上の企業を指します)でどれだけ製造仕掛中か把握できます。

情報共有は、移動通信システム5Gにより、映像を使ったリアルタイムなものが当たり前になるでしょう。

これらにより、何がどこにどれだけあるのか、在庫の共有がリアルタイムで行えます。

原材料の調達先に、物流拠点に、小売店にどれだけの在庫があるのか。ヒトを介さずにすぐ把握できるようになります。何がどこでどれだけ売れているのかもわかります。

モノの棚卸の必要がなくなります。

これに伴って、どのヒトがどこでなにをしているのかも把握できるので、作業日報や勤務表を付ける必要がなくなりますね。

どのようなイベントがどこで開催されるのか、気候はどうなるのか、どこからどれだけヒトが集まったのか……など、ビッグデータとして集積されます。

AIがこのビッグデータから、精度の高い需要予測をします。いつどこに何がどれだけ必要なのかがわかるということですから、この情報をサプライチェーン上で共有すれば、製造業から原材料の調達先、小売から物流へ行っていた受注業務、発注業務は必要なくなります。

製造業は、手動で、あるいは生産管理システムで、苦労しながら生産計画を立てています。

月曜日に一週間の生産計画を立てたのに、火曜日に受注が入って急ぎで計画を見直す……なんてことは、日常茶飯事です。これも、きっと不要になるでしょう。

ここまでくると、NET上のあらゆるデータを活用することで、今後売れそうな製品や、まだ世の中にないけれど、実はニーズのある製品を想定することもできそうです。

そうなってしまえば、営業も必要ありません。わざわざ自社の製品を売り込む必要はなく、NETに情報を流せば、顧客は瞬時に把握できるからです。

製造・物流・流通までが、DXによって、いままでとは全くちがったものになると、私は想像しています。

シナプスイノベーションができること

夢のようなハナシだと思われたでしょうか?

しかし、未来はヒトが想像しなければはじまりません。実現もできません。

ウォルト・ディズニーは言いました。

「夢を見ることができるのならば、あなたはそれを叶えられる」。

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